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蔵書8万冊の私立中・高図書館の取り組み

今日は少し前に紹介した「ゆるゆる図書館」に続く、大量の蔵書をもつ私学の図書館(図書室)のお話です。

 この学校は、中高一貫の男女共学校。ここに子どもを通わせている知人の話によると、緑の多いキャンパスは広大で、施設としてとくに驚いたことのひとつに図書館の充実があるそうです。聞けば蔵書の数は8万冊以上。え?という数字ですが、これは本当に驚きの数。ゆとりある館内にはさまざまな本がジャンル別に並び、データベースもしっかり整っているので欲しい本があればすぐに検索できる充実度です。

 とにかく昨今の学生さんの読書離れはとても顕著で、スマホやアイパッドが常に手元にある生活では、本を読めと大人が言ってもその言葉にまったく説得力はありません。朝から晩まで忙しいから、寝る前に本を読む癖なんて無理。ベッドに入ったらバタンキューなんてこともそりゃあ当然のことですよね。

 でも、どの学校も読書のクセをつけてほしいと願うのは同じで、「朝読書」の時間を設けるなどいろいろ工夫しています。クラスごとに本棚を用意し、いつでも手に取れる環境にしたり、生徒が通るオープンスペースに新しく購入した本を展示して手に取ってもらいやすくしたり。図書館は足が向きそうで向かない場所でもあるので、家でも学校でも自然と本が身近にあることがとても重要かと思います。

 この学校の取り組みとしておもしろいなと思ったのが、1時間の読書タイムが定期的にあるということ。この1時間の使い方がとてもユニークなんです。まず、一人必ず2冊手元に本が来るように、興味がありそうな本をこの日のために図書委員が用意します。いざこの時間となったら、それぞれが配られた本を110分くらいで素読みして、その後、面白かったか、面白くなかったかの評価を決められた用紙に記入。そして、面白かったと感じたほうの本を、お隣の人に渡すんだそうです。そうすることで1時間に複数冊目を通すことができ、面白いと感じた本はどんどん次の人に回るからたくさんのクラスメートが読むことになります。最終的に評価の紙を集計し、面白いとされた上位の本をクラスの学級文庫に入れて、次は素読みでなくぜひじっくり読んでね、となるわけです。学級文庫の充実を図るための取り組みでもありますね。

 この流れ、聞いた話なので間違っている部分もあるかもしれませんが、子どもが本に触れ、活字を追う機会を自然につくる独自の取り組みと言えます。図書館に行かなくても学級文庫が充実していれば、休み時間の数分や、何かの待ち時間、借りて通学途中で読むといった自分なりの使い方ができます。図書館の先生は常に新しい本が世の中に出るので新旧入れ替えも行ないながら、手に取りやすい漫画なども充実させ、図書館に足を運んでもらえるよう常にアイデアを練っているとのことでした。

 図書館はどこも同じような風景と思いがちですが、一人で勉強できる机のほか、友人とくつろげるソファーがあったり、座り込んでおしゃべりしながら本をめくれるスペースもあるとか。考えてみたら、小学生の時はよく通った図書館も、中学・高校になったらさっぱり通わなかったな・・・というのが私個人の記憶。おしゃべり厳禁のちょっと重い空気が流れる図書館が昔流なら、誰もが気楽に立ち寄れ、リラックスしながら本と過ごすことができる空間というのが今流でしょうか。学校側の模索もいろいろで、これは他の学校の話ですが、貸出カウンターにかわいいぬいぐるみを並べ、それを手に取りかわいがりながら本を読むこともできる、そんな取り組みをしているところもあるそうです。

 皆さんが通う学校の図書館は、今どんな様子ですか? 昔流から脱していなければ、生徒さんのほうからリクエストして改良していってもいいですよね。学校は勉強のためにあるだけでなく、若い人たちの心を育む場所でもあります。図書館に限らず、学校のなかに居心地のいい空間がもっともっと増え、いろいろな楽しみ方ができるといいなと思います。

 

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