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「窓ぎわのトットちゃん」にみる子どもの感性

今日はユニスタ本店のある自由が丘にかつてあった、トモエ学園のお話。ここに通ったことで人生の扉が大きく開かれたと語るのが、俳優の黒柳徹子さんです。今から40年以上も前に刊行され、幼少時代の出来事を綴って人気を集めたのが著書「窓ぎわのトットちゃん」。我が家の本棚にもまだ残っていて(1981年第1刷!)、この本は国内外トータルで何と2500万部も売れたそうです。そしてその続編がこのほど刊行され、映画化もされています。

ユニークな小学校「トモエ学園」の校長先生は、周囲の子どもたちとは違う型破りな行動をとるトットちゃんを決して否定せず、「君はいい子なんだよ」と優しく声をかけます。その言葉に支えられ、トットちゃんは言いたいことを全部話し、やりたいことを我慢せずに精いっぱいやって毎日を楽しむようになります。前の小学校を退学になったばかりのトットちゃんの話を、先生が笑顔で4時間も聞き続ける場面の著述には、心が大きく動かされました。

 トットちゃんが校長先生と初対面の日、何でも話していいと言われて口にしたのは、「いまのってきた電車が早かったこと」「駅の改札口のおじさんに、お願いしたけど切符をくれなかったこと」「前に行っていた学校の受け持ちの女の先生は、顔がきれいだということ」「その学校にはつばめの巣があること」「家にはロッキーという茶色の犬がいて〝お手〟と〝ごめんくださいませ〟と、ごはんのあとで〝満足、満足〟ができること」「幼稚園のとき、ハサミを口の中に入れてチョキチョキやると、舌を切りますと先生が怒ったけど、何回もやっちゃったっていうこと」(すべて原文ママ)・・・・などなど、パパやママのことも含めてたくさん、たくさん話したのでした。

  これだけのことを口にできるのは、常に周りの人やもの、出来事に目を配り、深く感じているからです。その純粋な感性がもしもどの子どもにも備わっているとしたら・・・。それを大人ができるだけ潰さないような日々を送らせてあげたいし、でもそうは言ってもなかなかそうなれないのはどうしてだろう・・・などと、いろいろ考えさせられます。

 そして、ずっと話し続けたあとに校長先生から「もう、ないかい?」と尋ねられ、何かないかと考えまたひとしきり話をしたあと、最後の最後に「じゃ、これで君はこの学校の生徒だよ」と先生に言われます。トットちゃんのそのときの笑顔が、思わず眼前に浮かんできます。こんなに長い間自分の話を聞いてくれた人は今までいなかったというくだりには、そうだよな、子どもの話をじっくり聞くって簡単そうで大人が一番できないことかもしれないなと、そんな気持ちにもなりました。

 余談ですが、自由が丘の駅前は、今再開発で大規模な工事が行われています。その一帯を囲む白いフェンスの一部には、先月、こんな絵柄が入ってかつての自由が丘を紹介していました。木造だった駅舎やトットちゃんの通ったトモエ学園など、昔懐かしい風景がよみがえり、思わず足を止めて見入った人も少なくなかったでしょう。

 中学受験が終わり、小6の皆さんは今開放感でいっぱいでしょうか。これまでできなかったことをゆとりあるこの時期にぜひ実行に移し、たくさんのことに興味をもって、楽しみながら感性を磨いていってほしいと思います。

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